病気になってしまったり、体力が落ちてしまった熱帯魚の治療法として、塩水浴をさせる方法が古くから知られています。
病気に対してどのような効果が望めるのか、その原理や方法をまとめました。
塩水浴は浸透圧を利用した治療法
浸透圧とは、濃度の異なる溶液を隣り合わせたとき、濃度を均一に保とうとする働きのことです。
熱帯魚の体内の塩分濃度は約0.6パーセント~0.9パーセントといわれていますので、塩分濃度0パーセントの淡水で生活する場合は自分で体内の濃度を調整しているのです。
この機能を備えていなければ、体内にどんどん水を取り込むことになってしまいます。
塩水浴は、グッピーが生活する水を塩水にし体内と体外の塩分濃度の差を縮めることで、浸透圧に対する体の負担を軽減させる治療法といえます。
また、寄生虫や病原菌には前述のような体内の塩分濃度を調整する機能がありませんので、周囲の濃度が濃くなれば体内から水分が奪われその環境では生きられなくなります。
塩水浴の方法
0.5パーセント程度の濃度の塩水に病気のグッピーを1週間ほど入れます。
水1リットルあたり塩約5グラムの濃度です。
水の量がわからない場合、水槽の大きさを測って大体の容量を算出するとよいでしょう。
また、水温を28度~30度程度に上げることも効果的です。
寄生虫や病原菌はこれよりも低い温度で繁殖する種類が多く、低温度の環境を好む病原菌も存在するためです。
戻すときは、徐々に塩分濃度を薄めます。
どんな効果があるの?
浸透圧を調整する腎臓の負担を軽減させることで、治癒に向けた体力の確保を計ります。
エネルギー消費量の減少は、病気や体力の落ちた魚にとってはとても効果が望めることです。
また、塩分濃度の調節機能を持たない寄生虫や病原菌が生きられない環境といえます。
さらには、塩には殺菌効果や消毒効果があるため、病原菌などを弱らせて駆除する効果も期待できます。
塩水浴の注意点
グッピーは淡水魚ですので、体が丈夫といってもあまり濃度の濃い塩水で長期間飼育するとかえって逆効果です。
目安は前述のように0.5パーセント程度の濃度で1週間程度です。
定期的に水換えを行い、塩分濃度を保つとよいでしょう。
水草やエビ類は塩水によって枯れたり弱ってしまったりといったことが考えられますので、普段飼育している水槽とは別の水槽やバケツを使用することをおすすめします。
塩水浴中のジャーマンですが
どちらとも回復してきております!!#グッピー#熱帯魚 pic.twitter.com/EVmoZ4adwW— やまちゃん@フルレッドブリーダー (@yamachanKIRIKA) 2016年5月27日
まとめ
塩水浴には様々な効果が期待できますし、方法もそこまで難しくはありません。
しっかりと注意点を把握した上で、安全に行いましょう。
弱ってしまったグッピーが再び元気に泳ぎ回る姿を見られたら、ほっと一安心ですね。